第1章:冬はなぜケガが増えるのか

寒い季節になると、運動中の筋肉や関節は “冷え” によって硬くなります。これは、冷えることで血管が収縮し、筋肉への血流が一時的に低下するため。血流が落ちると、以下のようなリスクが高まります。

  • 筋肉が伸びにくくなる
  • 関節の可動性が悪化する
  • 筋の反応速度が遅くなる

こうした状態で無理に動くと、肉離れ・捻挫・膝や腰の痛み が起きやすくなります。「いつも通りの力加減で動いたら、急にピキッときた」 という冬のケガは、この仕組みによるものなんです。

第2章:オフシーズンに起きやすい体の変化

冬は運動量が自然と落ちるため、気づかないうちに体には次のような変化が起きます。

  • 筋力低下:特に“支える筋肉(インナーマッスル)”が落ちやすい
  • 柔軟性の低下:寒さ+活動量低下で筋膜が硬くなる
  • バランス能力の低下:反応速度が鈍り、転倒リスクが上がる
  • 姿勢不良:厚着・暖房環境・座りすぎで背中が丸くなりやすい

これらが重なると、オンシーズンに入ったときに 「体がついてこない」「思うように動けない」という状況になりやすいのです。つまり冬は、“パフォーマンス低下の前兆”が見えやすい時期 とも言えます。

第3章:冬に整えておきたい3つのポイント

柔軟性を戻す(筋膜・関節の動きを整える)

冷えると筋膜は硬くなり、関節の動きが小さくなります。冬こそ、ゆっくり大きく伸ばすストレッチが効果的。特に、太もも前後、お尻、ふくらはぎ、肩甲骨回り を丁寧にケアすると、ケガ予防につながります。

体幹を鍛える(ブレない体をつくる)

オフシーズンは 負荷を軽めにして基礎を固める時期。ガンガン鍛える必要はありません。むしろ、プランク、ヒップリフト、片脚バランス など、“地味だけど効く”メニューを続けたほうが、春以降の動きが安定します。

小さな不調を見逃さない(冬は悪化しやすい)

「少し痛いけど動ける」 という状態は、冬に悪化しやすい傾向があります。寒さで血流が落ちるため、回復が遅れ、結果的に 慢性化 or 再発 につながりやすい。冬はケガが「治りにくい時期」と理解しておくと、無理せず調整しやすくなります。

第4章:オンシーズンへの“準備期間”としての冬

冬は「練習量が落ちてしまう時期」ではなく、オンシーズンに向けて土台を整える準備期間 と捉えるほうが良いです。

  • 柔軟性 → 動きやすさ
  • 体幹の強化 → 安定性
  • バランス → ケガ予防
  • 小さな痛みの調整 → 長期的なパフォーマンス維持

この4つを整えておくと、春以降のトレーニングがスムーズに入り、ケガのリスクがグッと下がります。実際、整形外科の現場でも 冬に体を整えた人ほど、春以降のケガが少ない と感じます。

第5章:まとめ|冬の過ごし方が来シーズンを左右する

冬季練習は、強くなるための“準備”の時間。寒さで体は硬くなりやすいですが、うまく向き合えば、むしろ ケガ予防と基礎作りに最適なシーズン です。

  • 冬はケガが増えやすい
  • 体の基盤が落ちやすい
  • でも整えるチャンスでもある

この3つを知っておくだけで、冬のトレーニングの質は大きく変わります。「冬に無理せず整える」 それが、来シーズンを伸び伸びと過ごすための最短ルートです。


この記事の著者

廣野 大介

こうの整形外科・漢方クリニック 院長

廣野 大介(こうの だいすけ)プロフィール詳細はこちら

日本整形外科学会 整形外科専門医

日本東洋医学会 専攻医