第1章:そもそも筋膜とは何か

筋膜は、筋肉を包み込み、体全体をつなぐ“膜”のような組織です。本来は滑らかに動き、筋肉の働きを助けています。ところが、以下のような状態が続くと筋膜の滑りが悪くなります。

  • 同じ姿勢が長時間続く
  • 体の使い方が偏っている
  • 血流が落ちている

その結果、「なんとなく張る」「重い」「動きにくい」といった慢性的な不調につながります。

第2章:セルフ筋膜リリースの良いところと限界

フォームローラーなどのセルフケアは、血流を促したり、一時的に柔らかさを出す効果が期待できます。ただし問題は、「なぜそこが硬くなったのか」という根本原因を解決できていない場合です。

  • 姿勢の崩れ
  • 体幹の弱さ
  • 日常動作のクセ

これらが変わらなければ、筋膜はまた同じように硬くなります。つまり、“ほぐす”だけでは足りないケースがあるということです。

第3章:整形外科で考える筋膜へのアプローチ

整形外科では、筋膜だけを単独で見ることはありません。全体の中で筋膜の状態を確認します。

  • 関節の可動域
  • 筋肉の前後左右のバランス
  • 神経症状の有無
  • 姿勢や歩き方

大事なのは、「どこを緩めるか」だけでなく「どう動かせるようにするか」という視点です。数回の調整で動きが変わることもありますが、良い姿勢が安定するまでは経過を見ながら整えていく必要があります。

第4章:筋膜リリースは“手段”であって“目的”ではない

筋膜リリースはあくまで手段のひとつです。その場をしのぐためではなく、以下のプロセスのために活用します。

  • 動きやすい体を作るため
  • 負担の偏りを減らすため

段階的に整えていくイメージを持つことで、慢性的な不調は改善に向かいやすくなります。一度整えた後も、体の使い方が安定するまで調整を続けることが、結果的に近道になります。

第5章:まとめ|筋膜だけに注目しすぎない

肩こりや腰痛が続くと、とにかく硬い場所を何とかしたいと思いがちですが、体はすべてつながっています。筋膜は大切な要素のひとつですが、それだけを見ていても不十分なことがあります。

  • 何度も同じ場所が張る
  • セルフケアをしてもすぐに戻ってしまう
  • 痛みが長引いている

そんなときは、一度体全体のバランスを確認してみるのも選択肢です。筋膜リリースを「動きの改善」にどう繋げていくか。そこが、慢性的な不調を根本から改善するための大事なポイントになります。


この記事の著者

廣野 大介

こうの整形外科・漢方クリニック 院長

廣野 大介(こうの だいすけ)プロフィール詳細はこちら

日本整形外科学会 整形外科専門医

日本東洋医学会 専攻医