第1章:「様子を見る」が悪いわけではない

まず大前提として、すべての痛みですぐ病院に来てほしいわけではありません。軽い筋肉痛や、明らかな使いすぎであれば、休んで様子を見るのは自然な判断です。問題になるのは、以下のような状態なのに放置してしまうことです。

  • 同じ痛みが続いている
  • 良くなったり悪くなったりを繰り返す
  • 生活の動作が少しずつつらくなっている

「まあ大丈夫だろう」という自己判断が、治りを遅らせる原因になることがあります。

第2章:放置しやすい痛みの特徴

長引きやすいのに放置されがちな痛みには、共通点があります。強い痛みではない分、受診のきっかけを逃しやすいのです。

  • 我慢できる程度の痛み
  • 動き出しだけつらい
  • 休むと少し楽になるが、完全には消えない

このタイプの痛みは、筋肉・腱・関節・筋膜といった“動かす組織”に負担が蓄積しているサインであることが多いです。

第3章:早く来たほうが楽だったケース

初期の段階であれば、生活動作の調整や簡単なリハビリ、動かし方の見直しだけで改善したケースも少なくありません。一方、放置期間が長くなると、以下のようなデメリットが生じます。

  • 動きのクセが固まってしまう
  • 周囲の筋肉まで影響(代償)が広がる
  • 結果として、回復までに長い時間が必要になる

「あのとき診てもらえばよかった」となる前に、一歩踏み出すことが大切です。

第4章:整形外科では何を見ているのか

「病院に行ったら、すぐ薬や注射になるのでは?」と心配される方もいますが、実際は違います。整形外科で行うのは、まず今の状態の“整理”です。

  • どこに負担がかかっているか
  • 動き方に問題がないか
  • 今は休むべきか、動いていいか

「無理していい時期じゃなかったんだ」「ここは動かしてよかったんだ」と、正しく知るだけで安心できる方も多いのです。

第5章:まとめ|受診は“重症だから”ではない

整形外科を受診する理由は、「もう限界だから」だけではありません。

  • この痛み、様子見でいい?
  • 動いていい?休んだほうがいい?
  • これ以上悪くならない?

こうした疑問を解消するための受診も、立派な理由です。痛みは体からのメッセージ。無視し続けるより、一度立ち止まって確認するほうが結果的に楽になります。迷ったときは、診てもらう側に一歩寄せる。それが、長引かせないためのちょうどいい選択です。


この記事の著者

廣野 大介

こうの整形外科・漢方クリニック 院長

廣野 大介(こうの だいすけ)プロフィール詳細はこちら

日本整形外科学会 整形外科専門医

日本東洋医学会 専攻医