第1章:5月は体が“ゆらぎやすい”時期

5月は、ゴールデンウィークの疲れや新生活の緊張がふっと緩むタイミング。一見、気候も安定しているように見えますが、実は1日の中での気温差(寒暖差)が非常に大きいのが特徴です。

朝は冷え込み、昼は半袖でも過ごせる……この過酷な繰り返しに体が対応しようとして、自律神経がフル稼働します。その結果、「休んでいるはずなのに疲れが抜けない」「なんとなくだるい」といった、いわゆる“気象ストレス”による不調が現れやすくなるのです。

第2章:寒暖差が関節や筋肉を硬くするメカニズム

気温が下がると、私たちの体は熱を逃がさないように血管を収縮させます。これが整形外科的な痛みやだるさに直結します。

  • ① 血流低下による「筋肉の酸欠」
    血管が縮むと、筋肉への酸素や栄養の供給が滞ります。特に腰や肩など、普段から負担がかかっている部位の筋肉が「酸欠状態」になり、痛み物質が蓄積。これが「重だるさ」の正体です。
  • ② 関節の「油切れ」のような状態
    急な冷え込みは、関節をスムーズに動かす関節液の循環にも影響します。朝起きた時に「指がこわばる」「腰を伸ばしにくい」と感じるのは、関節が冷えて一時的に“油切れ”のような状態になっているからです。

第3章:放置は禁物!「ただの疲れ」が慢性痛を招くリスク

「そのうち良くなるだろう」とこの不調を放っておくと、体は痛みを避けようとして不自然な姿勢(代償動作)をとるようになります。

例えば、冷えで硬くなった腰をかばって歩くことで、膝や首にまで痛みが出てしまうことも。また、自律神経の乱れからくる「無意識の緊張」が続くと、睡眠の質が低下し、さらに痛みを感じやすくなるという負のループに陥ってしまいます。小さな違和感のうちにケアを始めることが、未来の健康を守る鍵となります。

第4章:今日からできる冷え対策とクリニックでの専門的ケア

自宅でできる簡単ケア3選

  • 「3首(首・手首・足首)」+「腰」を冷やさない
    太い血管が肌の近くを通っている「3首」をガードするだけで、全身の血流が守られます。5月はこれに加え、特に「腰」を冷やさないことが重要です。ストールを常備したり、寝る時に腹巻を活用したりして、腰周りの血流を維持しましょう。
  • ぬるめのお湯でリセット入浴
    38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経を優位にし、冷えで固まった筋肉を内側から緩めます。
  • 「朝の伸び」ストレッチ
    朝起きたたら布団の中でゆっくり全身を伸ばし、最後に膝を抱え込むようにして腰を丸めましょう。関節を「温める」スイッチが入ります。

当クリニックでのアプローチ(整形外科×漢方)

セルフケアで改善しない「だるさ」や「痛み」には、当院ならではの多角的な治療が効果的です。

  • エコー検査とハイドロリリース: エコーで「どこの筋膜が癒着して痛んでいるか」をリアルタイムで確認し、ピンポイントで水(生理食塩水など)を注入して癒着を解消します。長引く重だるさに高い即効性が期待できます。
  • 保険適用の漢方による「巡り」の改善: 冷えが強く腰痛がある方には当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、全身の重だるさやむくみが気になる方には五苓散(ごれいさん)など、体質に合わせて処方し、体の内側から整えます。
  • 理学療法士によるリハビリ: 寒暖差に負けない「しなやかな体」を作るための運動指導・姿勢調整を行います。

第5章:まとめ|季節の変化を我慢せず、心地よい毎日を

5月の不調は、「気のせい」でも「怠け」でもありません。寒暖差という過酷な環境に、あなたの体が一生懸命応えようとしている証拠です。

「病院に行くほどではないかも……」と迷うような、なんとなくの不調こそ、一度私たちにご相談ください。丁寧にお話をお伺いし、西洋医学と東洋医学の両面から、あなたが笑顔で毎日を過ごせるようサポートいたします。


この記事の著者

廣野 大介

こうの整形外科・漢方クリニック 院長

廣野 大介(こうの だいすけ)プロフィール詳細はこちら

日本整形外科学会 整形外科専門医

日本東洋医学会 専攻医