第1章:夏になると膝や足の痛みの相談が増える理由

「暑い季節のほうが体がほぐれて動きやすそうなのに、どうしてケガや痛みが増えるんですか?」 当院の外来でも、患者さんからよくこのような質問をいただきます。

確かに冬場に比べると筋肉の固さは和らぎ、動きやすく感じます。しかしその一方で、夏場は大量の発汗や暑さによって、知らないうちに全身の疲労や水分のアンバランスが溜まりやすい時期でもあります。 さらに、日が長くなることで「もう少し走ってみよう」「今日も休まず歩こう」と運動量が急に増えてしまいがちです。

こうした「体内の疲労蓄積」と「運動量の増加」が重なることで、膝、足首、ふくらはぎなどの筋肉や関節へ小さな負担が積み重なり、痛みの原因となってしまいます。

第2章:真面目に頑張る人ほど危険?負担が蓄積するメカニズム

健康のために運動を始めた方ほど、毎日休まず真面目に取り組む傾向があります。 しかし、急に運動量を増やしたとき、筋肉や腱、関節の組織はすぐにはその変化に対応しきれません。

運動によって傷ついた筋肉や組織は、休息と十分なケアによって回復します。ところが、疲労や緊張が抜けきらないまま運動を重ねると、筋肉や周囲の「筋膜」が硬くなり、関節のスムーズな動きが損なわれてしまいます。

その結果、特定の部位だけに集中的に負担がかかるようになり、「昨日までは平気だったのに、急に歩けないほど痛くなった」という状態につながってしまうのです。

第3章:放置は禁物!その違和感、体からのSOSかもしれません

運動後に軽い張りを感じる程度であれば、自然治癒していくことも多いです。しかし、以下のような症状がある場合は注意が必要です。

  • 運動を始めると毎回同じ場所が痛む
  • 休むと楽になるが、走り出すとまた痛む
  • 膝の曲げ伸ばしや、階段の上り下りで違和感がある
  • 足の裏や踵(かかと)、アキレス腱あたりがピキッと痛む

「これくらいなら大丈夫」と我慢して運動を続けてしまうと、慢性的な炎症を引き起こしたり、かばった歩き方によって腰や反対側の足まで痛めてしまう「悪循環」に陥ることがあります。違和感は体からの大切なSOSサインです。

第4章:痛みを繰り返さないために|自宅セルフケアとクリニックでのアプローチ

【ご自宅でできる簡単セルフケア3選】

無理のない範囲で、運動前後や一日の終わりに試してみてください。

  • ふくらはぎともも裏のやさしいストレッチ
    壁に手をつき、片足を後ろに引いて踵(かかと)を床につけ、ふくらはぎを心地よく伸ばします(息を吐きながら20秒キープ)。
  • 運動直後のアイシング&入浴での温熱ケア
    運動直後に熱感や局所の痛みがある場合は氷などで10〜15分冷やします。翌日以降の慢性的な張りには、ぬるめのお湯にゆっくり浸かり血行を促しましょう。
  • 水分・ミネラルと十分な睡眠
    運動前後の水分補給はもちろん、疲労を回復させるために夜はしっかり体を休めましょう。

【セルフケアで改善しない場合は当クリニックへ】

「休んでも痛みが引かない」「繰り返す痛みを根本から治したい」という方は、我慢せず専門医にご相談ください。当院(千里中央駅から徒歩5分)では、患者さんのお話を丁寧にお伺いし、以下のような多角的な治療を行っています。

  • エコー(超音波)検査によるピンポイント治療: レントゲンでは映りにくい筋肉や筋膜、腱の状態をリアルタイムで確認し、痛みの原因部位へピンポイントでアプローチ(ハイドロリリースなど)を行います。
  • 理学療法士によるマンツーマンのリハビリ: フォームのクセや筋力バランス、関節の柔軟性を評価し、再発しにくい体づくりを運動療法でサポートします。
  • 保険適用の漢方薬による体質改善: 「筋肉が攣りやすい」「疲労が抜けにくい」「冷えや血行不良がある」など、西洋医学の知見に加え、東洋医学(漢方)を用いて体の中から回復力を高めます。

第5章:まとめ|無理をせず「整えてから動く」習慣を

運動は、健康で豊かな毎日を送るための素晴らしい習慣です。だからこそ、痛みを我慢しながら続けるのではなく、「少しおかしいな」と感じた段階でケアすることが大切です。

早めに原因を確認し、適切なケアを受けることで、大好きな運動を長く安全に楽しむことができます。

当院では「患者さんの声に耳を傾け、心と体に寄り添う医療」を大切にしています。「こんな小さな違和感で受診してもいいのかな?」と迷う必要はありません。お体の不調や痛みが気になる方は、どうぞ気軽にご相談ください。一緒に無理のないペースで、元気に動ける体を整えていきましょう!


この記事の著者

廣野 大介

こうの整形外科・漢方クリニック 院長

廣野 大介(こうの だいすけ)プロフィール詳細はこちら

日本整形外科学会 整形外科専門医

日本東洋医学会 専攻医